いまさら聞けない税金Q&A

いまさら聞けない税金Q&A

Q 土地の価格が下落して含み損が出ていますが、含み損を損金として計上できないのでしょうか?
A

企業会計上は、固定資産の価格や収益性が著しく下落した場合、減損会計により下落分を減損損失として費用化し資産の評価を切り下げる考え方があります。
これはあくまで企業会計のタイムリーディスクロージャーの観点から時価情報を適時に開示する目的によるものです。

一方、法人税法は租税の徴収を公平適切に行なうことに重点が置かれているため、減損損失を計上してもまだ損失が未実現なので、法的整理などの一定の場合を除き、法人税法上の損金にはなりません。
このように保有したまま評価損を計上しても法人税の所得計算では損金として認めてもらえませんが、第三者に適正な時価で売却した場合には売却損として含み損が実現されますので、この場合には損金となります。

ただし、同族間で時価とかけ離れた価額で売買をすると、みなし贈与や寄付金課税の問題が生じるので注意が必要です。

またグループ法人税制適用会社間での売却直前の簿価1000万円以上の固定資産等の売買は、売却損益は損益が繰り延べられ、その期間の益金・損金とはできませんので注意が必要です。同族間で恣意的な利益操作を防ぐためです。